2023年08月03日

心かき乱される対抗戦からリスペクトをぶつけ合う対抗戦へ、エルデスペラードと高橋ヒロムが様々な団体に出現し業界の空気を変えた〜7月のプロレス界を振り返る

カテゴリー:新日本プロレス

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 すっかりブログも書かなくなってしまいました、すいません。
 休暇を取り戻す意味も込め、7月のプロレス界を振り返ってみます。  以下は主観もかなり入ってますので、コラム的なものとしてお読みください。


 7月のプロレス界における目立った動きと言えば、新日本プロレスを中心とした団体交流です。  特に、エル・デスペラード、高橋ヒロムはいろんな団体で見ました。"


リスペクトある交流戦

 エル・デスペラード、高橋ヒロムを中心とした他団体交流は、ここ数年では考えられない幅の広さとなっています。
 行われたものと、今後予定されているものを並べてみます。





▼7.2 ドラゴンゲート・神戸ワールド
 高橋ヒロムが参戦し因縁のYAMATOと一騎打ち勝利。
 また、鷹木信悟もサプライズ参戦。

▼7.4 新日本プロレスが主催するNJPW STRONG・後楽園ホール大会に葛西純が出場。
 同団体では異例のほぼデスマッチによる大流血戦。
 札止め観衆は大熱狂。なお、葛西純が出場しなかった翌日の大会は札止めとならず。

▼7月23日、BASARA・後楽園ホール大会にSHOが参戦。木イサミに勝利し予告通りカバン持ちとするも、カバンを持ち逃げされる。

▼7月23日、DDT・両国国技館大会にエル・デスペラードが参戦、佐々木大輔と一騎打ちし高試合の末に勝利。
 この対戦きっかけは、まだ新日本とDDTが"禁断の扉"で交流がなかった時代から始まっている。

 このほか、全日本プロレスには、永田裕志、小島聡らが継続参戦。
 小島聡はエナジャイズ!プロレスにも参戦。

<今後予定>

■8.4(金) GLEAT / 東京・両国国技館 [18:30開始]
https://ent.lidet.co.jp/event/detail.php?id=144
▼カズ・ハヤシ&田中稔&CIMA(一夜限定復帰)
 vs.高橋ヒロム&青柳亮生&頓所隼

■8.11(金祝) フリーダムズ / 神奈川・横浜武道館 [開始16:00]
http://pw-freedoms.co.jp/event_detail.php?id=2689
▼デスマッチ
 葛西純&エル・デスペラード vs 竹田誠志&山下りな
▼高橋ヒロム&高岩竜一 vs ドラゴン・リブレ&香取貴大

■8月26日(土) 佐藤光留興行 / 神奈川・富士通スタジアム川崎
http://hardhitpro.com/4275
[第1部:15時開始、第2部:18時開始]
▼佐藤光留 vs エル・デスペラード

■9月17日(日) NOAH / 東京・後楽園ホール [開始11:30]
https://www.noah.co.jp/schedule/483/
「CLEANUP INTERNATIONAL presents 「真・飛翔 ?丸藤正道デビュー25周年記念大会?」」
▼丸藤正道 vs ウィル・オスプレイ

■10月15日(日) みちのくプロレス / 岩手・矢巾町民総合体育館 [開始14:00]
http://www.michipro.jp/schedule/index.html#s231015
▼フジタ“Jr”ハヤト vs 高橋ヒロム

 このほか、九州プロレスに本間朋晃が参戦。
 全日本プロレスには永田裕志・小島聡ら参戦。

 高橋ヒロムとエル・デスペラードを中心とした新日本ジュニア勢の他団体交流は、2023年3月1日に行われた事実上新日本主催の「レック Presents ジュニア夢の祭典 〜ALL STAR Jr FESTIVAL 2023〜」に参加した団体への"見返り"と見られます。
 しかし、事務的な感覚は薄く、一つ一つがひじょうに丁寧に仕掛けられ、インパクトもあり、そのうえで互いのリスペクトを感じられるやりとりとなっているのが特徴。
 vs新日本と言うと、歴史的にファンがバッチバチでやり合う殺伐としたものが印象に強いが、この7月に関しては、他団体側も気持ちよく受け入れられる対抗戦・交流戦が多かった。
 こう書くと「最近のプロレスは…」調のベテランファンの声も出てきそうなものだが、この前月ぐらいまでは、選手が挑発し合うような対抗戦が目立っていたことも書いてはおきたい。

 そもそも今現在の新日本プロレスの本格的な"開国"は、2022年1月8日の「新日本vsNOAH・プロレスのチカラ」からである。
 ブシロード傘下になり"1強時代"を実現させた新日本プロレスは、国内他団体との関係を限定的なものとしていた。
 対抗戦の封印を解いたvsNOAHが衝撃だったことは、コロナ規制席数とは言え、横浜アリーナが前売りでチケット完売したことからもわかる。
 その戦前で行われていた選手の発言は、相当に挑発的なものだった。新日本は"格上"を強調、NOAHも会見やSNSで抗する。
 また、2023年1月21日に行われた台2回の「プロレスのチカラ」横浜アリーナ大会では、清宮海斗がオカダ・カズチカの顔面にケリを入れ流血させたことから殺伐とした展開に。
 2月12日、武藤敬司引退興行・東京ドームでは、ノンタイトルながら当時のGHCヘビー級王者である清宮海斗がオカダ・カズチカに敗戦。NOAHファンを愕然とさせた。
 また全日本プロレスの"永田裕志・三冠"王者"も、王道ファンの心をかき乱してはいた。新日本では"ベテラン枠"でメイン戦線からは離れている永田裕志に、団体エースの宮原健斗が敗れる。また永田裕志の発言はTwitterなど挑発よりのものが多い。

 殺伐とした対抗戦があったうえで、 ジュニアを中心とした新たなフェーズの交流戦が始まったんだということは伝えておきたい。
 正直、vs新日本において他団体ファンの警戒度はマックス。
 そんななか、高橋ヒロムもデスペラードも、心ある対応を見せ続けた。
 高橋ヒロムはフジタ“Jr”ハヤトとの対戦実現のため東北まで出向いた。また、フリーダムズ・ドラゴンリブレの呼びかけに応え、新木場1stRINGにも上がった。
 デスペラードはフリーダムズのリングにサプライズで姿を見せ、まさかの画鋲バンプでデスマッチファンに向けリスペクトを示した。
 佐藤光留興行会見では、早朝に船上で会見を行った。
 DDT・両国で行われたデスペラードvs佐々木大輔は、お互いの良さを引きだし合う名勝負となりました。
 2人が上がった団体で、彼らを悪く言う人はほぼいないでしょう。話題性を呼び、集客にも貢献しているはず

 また、新日本側もメリットはあった。
 葛西純出場のNJPW STRONGは札止め。清宮海斗のG1参戦も刺激たっぷり。正直、令和闘魂三銃士がややもがいていることもあり、清宮の参加は正解に感じます。
 ウィンウィンとまで言えるのかはわかりませんが、良い交流、ファンがワクワクする交流が続いている。
 1つ1つのアイディアを練り、実現させるのは大変なこと。
 コロナからの復活に向け、本気度を感じます。

 ファンの心かき乱す対抗戦が中心だったプロレス界、7月で空気が変わった気がします。

 新日本・大張社長の話題と鳴ったインタビューから。
■【新日本】<大張社長インタビューB>コロナ禍での挑戦と復活、「ALL TOGETHER AGAIN」、下半期の戦略を語る | プロレスTODAY - 2ページ
https://proresu-today.com/archives/219101/2/
−−3団体から予告、発表された6.9両国『ALL TOGETHER AGAIN元気があれば何でもできる!』。こちら開催の経緯をお伺いさせてください。
 本当は、これこそ2020年に私が社長就任した直後にやりたかったんですよ。それ以前から他の団体と一緒に、馳先生に陳情に行ったりというのをやっていて。わたしが社長になってから、横のつながりというものをとても重視してきました。もちろん、対コロナでは呉越同舟で、一緒に苦難を乗り越えて、立ち上がろう、そしてこの時期を支えてくれたファンの方々に恩返しをしよう、という目的が第一です。
 ですが、新日本1社からの目線で見ても、新日本プロレスを見るか見ないかが、イコールプロレスを見るか見ないか、になってしまうと、お客様に戻ってきてもらえないんですよ。新日本プロレスをもう見ないから、キャンプに行こう、ゴルフに行こう、ではなくて、ノアさんを見よう、全日本さんを見ようという風にプロレス業界の中でいろんな良さを見つけてもらえたら。
 他の団体にファンが行ってしまうのは悲しいですが、他団体のファンになられたとしても、プロレスを好きでいてくれる限りは、新日本の出来事や面白さを目にする、耳にする機会があるわけです。そうすれば、我々の頑張りによってはいつか戻ってきてくれるチャンスがある。他の趣味や習慣と闘うのは、はるかに難しいことです。

−−以前はそういう時代がありましたよね。

プロレスか否かだと、見なくなると戻ってこないわけですよ。雑誌でも、全日本が好きで買ったけど読んでると他の団体も載ってるわけじゃないですか。そこで新日本ではこんな事件が起きてるとか、ちょっと興味が湧いたりして。そういうことを考えると、一人勝ちは駄目なんですよ。それが3年前に思ったこと。それは国内・国外でもそう、一人勝ちばかりを狙ったら一人も勝てない。業界がしっかりとお客様にプロレスを見せる、お客様は業界の中のどこかの団体を好きでいる。

 "1強"で"勝ち組感"を生んで成長してきた団体の代表から出た言葉としては、なかなか信じられなかったのですが、ここに来て言葉に重みが出てきたかもしれません。
 単にPPVを売るためだけという感じもしなくなってきました。PPVは大事なんでしょうけど。



 問題があるとすれば、この先でしょう。2人は新日本がG1開催期で動きやすかったというのはある。
 続けていけたとして、この先も飽きさせず盛り上がりを維持できるのか、交流が終わった時に他団体は盛り上がりを維持でできるかという課題はプロレスの歴史上、常にあります。
 オールスター系大会は、「ALL TOGETHER」が満員とならず、もう似た大会は難しくなってしまった。交流戦はどうなるか。
 そこは一つ、今後のプロレス界全体の見どころでもあるかもしれません。

 あと、また殺伐とした対抗戦が戻ってくるという可能性も十分あるでしょう。清宮海斗が新日本で大きなチャンスをもらった場合とか。
 ただ、プロレスって空き家産業と言うか、
 様々なタイプのプロレスが上がったり下がったりすることを推進力としているところもある。そのうえでどう上手くやるかはも問われる。
 このあたりは見続けてくしかないのです。
 高橋ヒロムやデスペラードは、自分のやりたいことを素のままアピールし実現させていることが響いているでしょう。
 一方で、選手は自身の所属する団体が一番だとも思っているはず。そこが強調されることもあるでしょう。
 
 もう1つ気になる点としては、対抗戦の新日本は、圧倒的に"勝ち"が多い。だから新日本ファンも黙って見ていられるというのはあります。
 これが変わってくるのかどうかも気にして今後は見ていきます。

 何にしても、この夏の新日本ジュニア勢には頭が下がるばかり。
 ヒロムやデスペの行動により、新日本への印象が変わったという他団体ファンも多いのでは。
 まだこの先も注目のカードは続く。

 「高橋ヒロムvsフジタ“Jr”ハヤト」は、「エル・デスペラードvs葛西純」のようになるべきなんです、矢巾、期待してます。

※追記:これらの団体交流には、「レック」のサポートも大きいです。触れ忘れた(汗)、




▼ダムズのリングに高橋ヒロム登場! 8.11(祝金)横浜武道館大会参戦決定!!


▼前代未聞!川崎決戦に向けて佐藤光留とエル・デスペラードが、早朝に船上記者会見!前哨戦は釣り対決!?



新日本関連以外の交流戦

 7月は新日絡み以外でも対抗戦・交流戦が多かった。

 中嶋勝彦vs宮原健斗は話題となりました。前売りでチケット完売。
 団体を全く背負っていないということはありませんが、個人の因縁をピックアップするための団体交流。
 行間を読ませる煽り、試合は最近にないもので、今後も記憶に残るでしょう。リマッチがあるかどうかは鍵になりそうだが。



 全日本プロレスで、永田裕志から青柳優馬が三冠ヘビー級を奪取したのも大きな出来事。
 ALL TOGETHERで名を挙げたタイミング、6冠王も同時達成でこれ以上は難しいんじゃないかという最高の形で青柳は王者に。
 長田時代が結果として"タメ"となり、団体自体が上昇できるか注目されます。雰囲気は間違いなく良いですね。
 なお、世界Jrを奪取したエル・リンダマンは、ベルトの価値や全日本Jrに疑問を呈し、外敵として挑発を続けながらベルトを保持している。意識はしていないだろうが、リスペクト系とは違う交流も存在はする。

 スターダムのなつぽいが仙女に参戦し、橋本千紘と好勝負を繰り広げてもいる。これもリスペクト系対抗戦か。
 林下詩美が単独で海外遠征も。
 横浜アリーナ以降、スターダムの他団体交流は変化あったように感じます。

 これはごく一部、まだまだ気になった対戦はありました。紹介しきれず。

 団体対抗戦ではありませんが、ついに飯伏幸太が国内復帰するのも大きなニュース。
 彼の参戦がGLEAT初の両国国技館進出を決断させたとか。
 それだけの名があるうフリーの大物が現れたことが、業界全体の上昇に繋がってほしいと願うばかりです。

 コロナ禍以降、本当にようやく盛り上がりが出てきた気がします。
 8月はステップアップを。
 G1、N-1、5STARが楽しみ。
 また、海外ではWWE・AEWがビッグマッチを開催するのもも注目です。

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posted by sugi
2023年08月 18:06 | 新日本プロレス