話題のオートンvsエッジについて。日にち経ってしまいましたが、スルーはできません。
何度、書き直したことか(笑)
終わった瞬間は「凄いものを見たぞ」
自分はランディ・オートンというプロレスラーが大好きである。いろいろ問題も多い人だ。WWE内でもトラブル連発、インディーレスラーには文句をつける、「今のプロレスはダメだ」調な発言も目立つ。
でもそのファイトスタイルは大好き。
間合いの使い方が芸術級。世界的にスピードアップ化進むプロレス界でも、その緩急つけまくりの闘いぶりにはウットリさせられる。
言うだけのことはあるのです。ハズス試合もあるけどね。
こういうタイプのレスラーは年々減っている印象。WWEでも、他団体選手を多く獲得するようになった今となっては、完全に少数派。
だから、好き嫌いという前に、「見ておかなければいけない」という気持ちが先に出る。
絶滅危惧種を見守るような見方も入っているのだろう。
オートンvsエッジは、6週刊前の「レッスルマニア36」で、ラストマンスタンディングマッチとして行われたもののリマッチだ。その時はパフォーマンスセンター中を戦場としたうえでエッジが勝利。
家族も巻き込むWWEらしいドロドロ因縁劇でもある
再戦はノンタイトル、通常試合。ただサブタイトルがついた。
「The Greatest Wrestling Match Ever」。
直訳すると「史上最高のレスリング試合」。
闘う前から、「これは史上最高の試合になるから見て下さい」と。
まぁ、ちょっと考えられない煽り。
正直、ズンドコの予感すらした。「大きく出すぎ!」と世界十からツッコまれることも予想した。
しかし…見終わった瞬間にはサブタイトルに負けていない、最高の試合が確かに見られたという満足感があった。史上最高かと言われれば難しいが、今年のベストバウトにしてもいいぐらい。ただ、ちょっと引っかかる点もあって、そこは後述する。
試合前の選手コールは、最近なくなったWWE殿堂入りリングアナウンサーのハワード・フィンケルさんの過去音声が流されると言う演出。
最高。
オーソドックスな展開から入り、実況席を使う場外戦、それぞれの得意技をめぐる攻防、そして強く印象に残るのが2人の表情。
表情やちょっとした仕草、ビジュアルでグっと見る側の意識を引き寄せるのはWWEスパスタの得意技。
確かTAJIRI選手の発言だったと思うが、「WWEのプロレスは一瞬一瞬を切り取っても、全てが絵画のようになるのだと。まさに、そういう試合。
そして後半戦には、それぞれが意外な大技を打ち合う。
オートンがアングルスラム、ペディグリー。
エッジがアンプリティアーにロックボトム。
スリーアミーゴスに、クロスフェイス…え、クリップラー。クロスフェイス?? マジか。
アメプロの歴史が次々と頭に駆け巡る。
WWEのプロレスとは何かを提示するのが試合の目的と確信。
決着も興味深い。
RKOを何度もキックアウトされてしまった(ここはあまり良くない)ランディ・オートンは、ローブローを挟み、最終兵器のパントキックをエッチに叩き込み、カウントスリーを奪取する。
その瞬間、リング周りの観衆(NXT選手)からはブーイングが飛ぶ。
試合自体は最高に素晴らしいものだったのだが、顔面を切り上げるパントキックは、WWEでタブー視されている技、という技(説明が難しい)。
容赦ない攻撃に観衆代わりのNXT選手からブーイング。これは自然発生と言うより、正直何かしらの指示があってやってるんじゃないかと思えた。
ただ、生の観客を相手にしていても、オートンだったら1つか2つアクションを入れることでブーイングを呼び起こすことは可能だろう。まぁ、そこを省略したぐらいに自分は解釈。
オートンはKOされたエッジに近寄り耳元で、「家に帰って妻や娘と一緒にいろ」と告げる。そしてコーナーに上がり得意の勝ち名乗り。
良い試合だったからといって、健闘を称え合ったり、握手したりハグしたりと言う事はしない。因縁を重視、ストーリーを進める。
○ランディ・オートン(44分 パントキック)●エッジ
まさにWWEプロレスをやり切ったと言う形。
他団体が勢いをつけ始めてる現在、WWEがWWEらしい試合で勝負に来たというのは本当に嬉しい。
しかも、それをランディ・オートンがやってくれた。
面白かった。見終わって間違いなくそう思った。
演出ってどこまでよ
ただ…この試合では触れなければいけない大きなポイントがある。
一つは歓声だ。
会場はWWEパフォーマンスセンター。リング周りにはNXTのレスラーが囲み声援をしていた。。これは最近のRAWやSDと同じ。
ただ、オートンvsエッチの試合に関しては明らかに歓声の音色が違った。
その場にいるNXT選手が発したものではないと思われる歓声が混じっていたのである。おそらくSE、後から編集で足したものであろう。
ちょっと聞くと興ざめである。
ただ、単純に盛り上げるためだけにしては、分かりやすすぎるような。バレないようにしたいなら、第1試合からしていればいいのではないのでしょうか?
何か意味あってやってるような気もするのですが…ちょっと理由が思いつかない。
うーん…この試合がWWEプロレスとは何か?を提示することが目的だったなら、そこに「大観衆」は絶対必要だろうという発想があったのではないか、と。
ハワード・フィンケルさんのコールを再現させた時点で、実はファンタジー成分も多くなっていて、バーチャルだかなんだか非現実な空間であることも示唆していたとか…自信ない。
でもまぁ、歓声に関してはスルーすることもできる。問題はその先。
演出以上に、試合は編集されたものであるという情報もあるのです。
レスリング・オブザーバーは、それを理由に試合の評価をしないという異例の判断をした。
■\[WWE\] オブザーバーのバックラッシュPPV 試合評価:マッキンタイアvs.ラシュリー、ジェフ・ハーディvs.シェイマス、アスカvs.ナイア、他 ? 青空プロレスNEWS:WWE
http://aozora-pw.com/wpwn/archives/42291
編集ト言われてもどこまで手が入っているのか。調べれば分かるのかもしれないが…その気にならない。
まぁRAWやSDでも収録だったら、技の失敗を撮り直しする場合はあるようです。
WWEネットワークで見ている限り、自分は、繋ぎ合わせたような違和感を感じることは無かった。
歓声には「ん?」と思ったが、試合は白熱したこともあり、時間が進むにつれ気にならなくなり、終わった瞬間には「凄いものを見たぞ」という興奮に襲われていた。
その気持ちはどうすればいいのか?
「レッスルマニア」も全試合が収録だったわけで、こういうことは行われていたかもしれない。そういう予想もしていたはずだった。
でも実際に「史上最高の試合だったでしょ?」と突きつけられると、頭を抱える。返答に困る。
長くプロレスを見ているが、こんな悩みをもったことは初めてかもしれない。
これも無観客ならでは。改めてコロナのバカヤロー。
自分のプロレス観からすると、「バレなければ騙されるのは大歓迎」という感じではあるのです。バレバレは嫌だけど、見事に騙してくれれば大拍手なんです。プロレスに関するものなら何でも。
でもオートンvsエッジは裏が分かってしまった。うーん。
今のところの結論としては、普通の試合としてはやはり見られません。
テイカーvsAJやワイアットvsシナに近いタイプ。メッセージ性もあるわけで、「作品」としては素晴らしい、と。面白かったのは変わらない。
前にも書きましたが、ファンタジー色を匂わす演出はあったし、「史上最高のレスリング試合」と、堂々銘打ったのも、「収録ならそれもできるんですよ」という前フリに聞こえなくもない。
結果的に、「プロレスとは何か」を問うような芸術作品だった…とまでしてしまうのは言い過ぎか。
全否定もしません。これもプロレス。
他の試合と比較は難しい。ただ、まぁ、自分のベストバウト候補には、スタジアム・スタンピード・マッチもあるからなぁ(笑)
自分がオートン好きなので、「切って捨てたくはない」という気持ちがあるのは正直なところ。
モヤモヤはします。凄くします。
完全に納得できるのは、観客の前でオートンvsエッジの3戦目をやってもらうしかないのかも。それで完成。
ただ、今回の試合でエッジは怪我をしてしまったんですよね…。しばらくリングに上がれない。
最新RAWで、オートンはリックフレアーを見方につけたうえで、ビッグショーとの抗争に向かい始めました。
レジェンドキラー、復活なんですね。
ならば、夏か秋に…ジョン・シナか? HHHか? むむむ。
しかし、いろいろ考えさせられます。
コロナが収まらず(実際アメリカは大変なことになってますが)、収録試合が“通常”となるようだったら、もう試合評価の基準も変わってしまうかもしれませんね。
ルチャ・アンダーグラウンドみたいに、“番組”として初めて出るプロレスも既にありますしね。
いや本当に、無観客はいろんなことが起きる。